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昨日の夕方、三ノ宮の空は、灰色の分厚い雲に覆われていました。 いつ降ってもおかしくないような空模様。 空の様子は、時々、自分の気持ちを代弁してくれているように思うときがあります。 昨日の空は、涙をこらえて、今にも泣き出しそうな様子でした。 用事のために三ノ宮を歩いていた私は、片付けるべき仕事を考えながら、頭の片隅で、空を思い 『いっそ、泣いちゃえばいいじゃない』 と声をかけていました。 ふいに、携帯にメールが届きました。 気にかけていた友人からのメールでした。 こちらから連絡をしても返事がなくて、彼女のメールを待ちかねていました。 たぶんもう、返事は来ないだろうと思っていたところだったので、予想外のメールに気持ちが弾みました。 空は、まだ踏ん張っています。 『泣いちゃっていいのよ』 さっきよりももう少し強く思いました。 そして、空にまつわる好きな短歌を思い出していました。 ―つきぬけて 虚しき空と思ふとき 燃えがらのごとき 雪が落ちくる― 恋か仕事か、作者が燃えたものが何だったのかはわかりませんが、情熱の後の空虚感を、空に吐かせたのでしょう。 そうして、作者自身の空虚感が少し癒えたのではないかと思うのです。 自分の抱える漠とした不安、気になる友人、それに、この雲の下を歩く人たちが抱えているかもしれない、やるせない気分を、昨日の空は蓄えていたように思うのです。 でも、私の意に反して、空は一粒も涙を落としません。 私はまた、自分の仕事に集中して取り掛かりました。 夜、用事が片付いて建物の外に出ると雨が降っていました。 ためらいなく空からまっすぐと降り注ぐ雨でした。傘がなかったので、濡れながら歩きました。 想像どおり、その雨は、とても気持ちのいいものでした。
by tarat-tara
| 2014-06-24 15:11
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